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価値提供を目的とした投資ブログ

7717 ブイ・テクノロジー[企業調査]

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本日は四季報を読んでいて見つけた割安企業「ブイ・テクノロジー」の調査をしました。簡潔に企業調査をしましたので、よかったらご参考までに。

【概要】
分類:中型株
時価総額:550億円
事業価値:営業利益率20%、営業利益140億円
ネットキャッシュ:155億円
簡易企業価値:1,975億円
簡易期待利回り:260%
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【過去のPL】
・非常に割安なので、過去のPLを確認
・営業利益率は直近3期で非常に改善されている
・売上高の変動が大きすぎる
・今後も売上高を維持できるかが重要
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【競合比較】
四季報の比較会社を参考に競合比較
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<1.何で稼いでいるか>
・液晶画面の開発や製造、販売を行っている会社
・売上高比率の95%が海外で、製造拠点もほぼ海外に設けていて、主な取引先は中国
中国:Hefei BOE Display Technology Co., Ltd.
中国:Xianyang Caihong Optoelectronics Technology Co., Ltd.
中国:Chengdu CEC Panda Display Technology Co., Ltd.

<2.なぜ稼げているか>
・液晶画面の需要が高まり急成長を遂げた

<3.今後どのような変化があるか>
半導体製造装置市場への参入
半導体事業のナノシステムソリューションズをM&A
・FPD単独事業を脱却し、売上の4割を半導体で稼ぐように変革を予定
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<4.今後どのくらい稼げるか>
・前提として、液晶に変わる革新的な新技術の登場によってひっくり返されるリスクは内在する
・現状の出荷が維持されたと仮定した場合、FPD事業は売上高400億円、営業利益40億円
半導体事業の数年後の売上高を150億円、営業利益10億円とざっくり仮定

<5.いくらなら購入するか>
・事業価値500億円、財産価値100億円、企業価値600億円
時価総額480億円(株価4,775円)以下になれば打診買い検討


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
本ブログは投資を推奨するものではございません。
投資は自己責任でお願いします。

フィッシャーによる銘柄選択ポイント15

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次の項目にほとんど当てはまる企業は、とても魅力的な投資対象となる。

1.今後、少なくとも5年に渡り、売上増が期待できる製品やサービスがあるか?
投資対象とする会社は経営者が優秀であって、技術革新や研究開発が活発に行われている業種の企業に絞り、企業が高い成長力を維持できるような舵取りを経営者がしているかどうかに対して常に目を光らせていることが必要になる。これが投資対象を選ぶ上で第一に考えなくてはならないポイントである。

2.現在の人気商品が市場の限界を迎えても、売上増のために新製品や新製法の開発していく決意を持っているか?
どれだけ有望な製品でもいずれ市場は緩和するので、積極的な姿勢のある企業が最も魅力ある投資対象となる可能性が高い。

3.研究開発の規模と比較して、どれだけの成果が表れているか?
研究開発費と売上高を割った割合が競合他社と比較してどうか確認し、多額の経費を注ぎ込む価値があるかどうかIRへ確認した上で判断する。

4.営業部門は平均以上の力を持っているか?
IRや競合他社、顧客など関係者への聞き込みをして営業力の強さを確認する。

5.高い利益率を確保しているか?
売上がいくら大きくても利益が増えなければ意味はない。売上高営業利益率を数年単位で確認し、競合他社と比較してできるだけ最高の利益率を誇る企業へ投資する。例外として、売上高を年々伸びているにもかかわらず、利益に至ってない会社が将来の成長のため、あえて収益の大部分を研究開発や販売促進に注ぎ込んでいる可能性があるので、そのような会社は利益率が低い理由を調べる価値がある。

6.会社は利益率を維持し、さらに改善させるため何をしているか?
投資家が重視すべきことは、過去の利益率ではなく「将来の利益率」である。商品の値上げで利益率を良くすることができるが、これは長続きしない方法である。値上げよりも良い方法は財務内容の改善や生産の管理の部署を設けることである。優秀な企業は経費の削減を果たしているものである。

7.従業員と良好な労使関係を築いているか?
基本的に労働組合のない企業は平均以上に良好な労使関係を保っている。会社の離職率と平均給与を競合他社と比較して労働者の満足度が概ねどの程度か確認する。賃金を抑えて利益を確保している会社は近いうちに弊害の出る可能性が高い。そもそも従業員一人一人を大切にしないような経営者が投資に値するような企業を作ることはできない。

8.管理職の能力を引き出すような環境を作っているか?
企業は上級管理職と良好な人間関係を作ることもとても重要である。投資に値するような会社は上級管理職が社長や会長を信頼して気持ちよく仕事をしているものである。

9.管理職レベルの優秀な人材が豊富にいるか?
小さな会社の場合、本当に能力のあるワンマン社長が一人いるだけで見事な業績を上げることがあるが、その中心人物が働けなくなった時、会社は急転落する可能性がある。お偉方が各部署の日常業務にまで口を出すような企業では優秀な人材が育たないので、投資対象とすべきではない。

10.しっかりとしたコスト分析と財務管理を行っているか?
いくら数値分析をしても実態を掴むような情報はほとんど得られず、関係者へ聞き込みをしても詳しく把握している人などほぼ皆無であるため、この点においては財務管理が重要であって、どの程度までなら個人の力で分析し評価が可能なのかを認識できていれば十分である。

11.競合他社との競争を勝ち抜くための能力を十分に備えているか?
企業を守る根本的な力は特許ではなく、他社よりも進んだ「技術力を保つこと」から生まれるのである。特許よりも「製造技術、販売網、サービス組織、得意客、消費者に関する知識」といったものの方が大きな力になる。大企業が利益率を維持するため特許に頼るようになったら、それは投資家の観点から危険な兆候にあると見るべきである。

12.収益に関して長期的な展望を持っているか?
「聞き込み」をして、目先の利益を犠牲にしてでも得意先との関係を作る会社であるかどうか見極める。長期的にはこのような会社が最大の収益を手にする。

13.会社の成長のために増資が必要な会社かどうか?
他の14のポイントに多く当てはまるような会社は現金と借り入れ余力の合計が今後数年間において会社に必要な資金をまかなうのに十分かどうか確認する。

14.経営が順調な時は気軽になんでも口にするのに、経営が困難な状況に陥ったり、市場の期待を裏切るような出来事が起きた時、経営者は口を閉ざしたりしないか?
どれだけ好調な企業であっても、思いがけない災難に遭遇することは平均の法則から免れることができない。大切なことはこのような事態となった時、経営者がどう反応するかである。口が重くなる経営者は、口が重くなる理由があるからであり、いずれにせよ、悪いニュースを公表せず隠そうとする企業は投資対象から除外することが賢明である。

15.経営者は本当に誠実だろうか?
経営者は会社の資産を管理する立場にあるので、一般株主の資金を使って合法的に自分自身や家族が利益を得るようにする方法はいくらでもある。このような会社を見極める方法は「聞き込み」が大いに威力を発揮する。「有能な経営陣に対する報酬」という名目でストックップションを乱発している会社は経営者が私腹を肥やすために会社を私物化している可能性が高い。経営者が株主に対して強い使命感を欠く企業は、他の全ての点でどれほど優れていたとしても投資対象とすべきではない。



【いつ売るべきか】
株を売る理由は下記の3つしかない。
1.投資対象を選択する時点で判断を誤っており、その企業が実際には思っていたほど優れた条件を備えていなかったことが次第に明らかになった場合
2.時間の経過とともに企業が変化して15個のポイントを以前のように満たさなくなってしまった場合、その株は例外なく売るべきである
3.現在投資している成長株よりもっと有望な成長株が出てきた場合、乗り換えるために売っても良いが、ちゃんと調べていればこの理由で売ることはほぼない

株式投資には2つの大きな特徴がある。
1.適切なやり方で投資をすれば驚くほど大きな利益を手にできること
2.そのようなやり方をするためには高いレベルの技術と知識と判断が必要なこと
大切なことは自分の犯した間違いに早目に気づくことである。見込み違いの銘柄は塩漬けにするのではなく早めに売却し、自由な資金に変えた上で大きな利益が望める銘柄に投資し直すことが特に大切である。時が立つほど大きな価値を生み出してくれる株は決して売らないこと。

9628 燦ホールディングス [企業調査]

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本日は、燦HDの記事をまとめていきます。
燦HDは四季報をぱらぱら読んでいたら見つけました。

燦HDに注目した理由
1.3期連続して増収増益であり、営業利益率も10%以上を維持
2.5期平均の営業利益26億、ネットキャッシュ47億に対し時価総額140億
3.葬儀関連のサービスを展開しており、令和22年まで死亡者数は増加見込み

バリュー、グロースの側面からも面白い会社だと思ったので調査しました。
ぜひ、最後までお付き合いください。

【競合比較】

主要数値を競合他社と比較してみました。

コード 企業名 時価総額 営業利益 営業利益率 Net cash 予PER
9628 燦HD 139億円 28億円 13% 47億円 7.1倍
2485 ティア 145億円 11億円 8.8% -1億円 20.8倍
2344 平安レイサービス 129億円 19億円 18% 107億円 9.0倍
7040 サン・ライフHD 62億円 11億円 8.7% 119億円 9.6倍
7864 廣済堂 177億円 25億円 6.9% -43億円 32.2倍

※2019年7月27日時点の数値です

廣済堂は旧村上ファンド系のレノが大株主に名を連ねており、株価として割安性はあまりない印象です。ただ、セグメントが「情報76(0)、葬祭24(31)、他0(17)」となっており、純粋に葬祭事業だけ見ると売上高86億円、営業利益26億円となります。廣済堂は競合他社として決して無視できない存在でしょう。

他社と比較して燦HDが最も稼いでいましたが、財務面では「平安レイサービス」と「サン・ライフHD」も潤沢に資金がありました。直近の指標をもう少し詳しく見ていきます。

コード 企業名 自己資本比率 ROE ROA 配当利回り PBR
9628 燦HD 83.2% 6.9% 5.7% 2.6% 0.5倍
2485 ティア 65.1% 8.2% 5.3% 1.6% 1.6倍
2344 平安レイサービス 55.2% 7.0% 3.9% 2.8% 0.6倍
7040 サン・ライフHD 17.7% 9.4% 1.7% 3.4% 0.9倍
7864 廣済堂 35.2% 2.0% 0.7% 0.6倍

※2019年7月27日時点の数値です

次に従業員に関する情報です。燦HDは平均年齢が高いことが若干気になりますが、年収が790万円と高額なため、競合他社へ優秀な人材が移る心配もなさそうです。

コード 企業名 (連)従業員数 (単)従業員数 平均年齢 平均年収
9628 燦HD 670人 52人 49歳 790万円
2485 ティア 480人 449人 37歳 543万円
2344 平安レイサービス 243人 173人 43歳 591万円
7040 サン・ライフHD 459人 311人 38歳 456万円
7864 廣済堂 1,337人 899人 44.1歳 502万円

【業界分析】

葬儀業界は伸び悩んでいます。2016年の死亡者数は130万人と7年連続して戦後最高を更新していますが、葬儀単価が低迷しているため、市場規模は拡大してません。その要因として、葬儀の多様化が挙げられます。近年、霊園や生花業など周辺業種だけでなく、JAや生協、電鉄など異業種からの参入も相次いでいます。こうした新規参入が増える一方、少人数の家族層が増加。火葬だけ行う直葬も登場しています。さらに従来型の葬儀でも志望者の高齢化による式への参列者減少で精進落としなどの売上が縮小しています。以下のグラフにもあるとおり、死亡者数は168万人のピークを迎える2040年まで増加し続けますが、競争激化で再編、淘汰も始まりそうです。
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2018年3月期、葬祭業全体の売上高は1.2%増でした。葬儀1件当たりの単価は減少傾向にある一方で、2017年の人口動態統計では死亡数が1,340,397人と前年に比べ約2.5%増。売上高1位のメモリード(非上場)は1.7%減。2位の燦HDは7.5%増という結果でした。新規出店を進め、特に首都圏の収入が伸びたという。伸び率が11.1%と最も高かったのはウエディングも葬儀も手掛けるラックでした。上位10社中7社が葬儀1件当たりの平均単価と平均来場者を公開。単価は7社で単純平均すると130万円。同じ7社の前年度の平均から25,300円減りました。来場者は7社で単純平均すると60人で前年度から約3人減少。客単価でみても1年前から下がったと答えた企業は41社と70.7%に上りました。国立社会保障・人口問題研究所は40年ごろまでは死亡数が増え続けると推計。家族葬など小規模な葬儀の施行件数が増えていくのが業界の大きな流れになりそうです。遺骨ペンダントやミニ骨つぼなどの「手元供養」商品や家具調の仏壇が人気を集めるように、時代に合った供養への需要は根強い。人々の価値観の変化に対応した提案も重要になるでしょう。
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【財務分析】

時価総額が同水準の競合他社と財務分析を行いました。

[総合評価]
総合評価として、燦HDは「割安性、収益性、割安性、成長性」と効率性以外はトップの評価となりました。ただし、あくまで財務分析は現状把握でしかないので、あまり過大評価しないよう注意したいところです。
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[割安性]
山口式期待利回りは、山口揚平氏の書籍『ほんとうの株のしくみ』に紹介されていた理論株価の算出から期待利回りを算出しています。簡易期期待利回りは、「営業利益×10+ネットキャッシュ」にて算出した想定時価総額と現在の時価総額を比較した期待利回りを算出したものです。燦HDは、競合他社と比較して非常に割安という判断になりました。
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[効率性]
ROEは燦HDが最も低いですが、ROAROEが1%しか違わないことから、負債はほぼなく財務は鉄壁です。若干効率性においては他社に劣るでしょう。
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[収益性]
燦HDは売上高も利益も他社と比べて非常に高水準です。営業利益率においては平安レイサービスが18%と最も優れていましたが、それでも13.5%と非常に高い利益率を維持できているので、収益性も優れていました。
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[成長性]
営業利益の伸び率は素晴らしいですが、設備投資が売上高と比べて他社よりも低いため、少々先行投資の部分は懸念されます。
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[安全性]
自己資本比率82%と非常に良好な状態です。安全性の面は特に問題ないでしょう。
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【事業内容】

燦HDは葬儀の請負と葬儀に付随する商品やサービスを展開している企業です。燦HDの掲げている中期的な数値目標は以下のとおりです。
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※会社HPより抜粋

燦HDの事業セグメントは次のように分かれています。
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有価証券報告書より抜粋(2019.6.28提出)

セグメント構成として、売上高の67%を公益社が占めています。
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公益社[公式]
https://www.koekisha.co.jp/


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[公益社 東京本社]
住所:東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル西館14階


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[公益社 大阪本社]
住所:大阪府大阪市北区天神橋4-6-39

公益社の特徴は主に以下4点のようです。
●大手葬儀業界の中で一番歴史がある
東証1部上場企業
●対応できる葬儀の形式が豊富
●年間10,000件以上の実績が豊富

ただ、2016年3月に社員からの内部告発で火葬ミスの隠ぺいが発覚しています。悪いニュースもあります。
https://www.sankei.com/west/news/160330/wst1603300004-n1.html

●なにで稼いでいるか?

燦HDは公益社グループの葬儀施行で大半の売上を出しています。以下の表は13年分の葬儀施行に関する情報をまとめたものです。
全体として、施行件数自体は伸びているものの、大規模会館を使用した施行件数は年々減少しており、「支店・営業所附属会館」による施行件数が増資していることが伺えます。今後、如何に施工単価を引き上げていくかが大きな課題となるでしょう。
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有価証券報告書より作成

●なぜ稼げているか?

ただ、売上全体の67%は公益社が占めていましたが、最も利益を稼いでいるのは「持株会社」です。営業利益率も38%と非常に高いです。
持株会社は「㈱公益社、㈱葬仙、タルイ㈱」が使用する葬儀会館等の不動産賃貸に対しても収益を上げています。また、連結子会社4社に対して役員を通じて経営指導を行うほか、各社から総務、人事、経理、情報システムの事務等を受託しています。あとは公益社グループによる高単価の葬儀施行が利益の源泉となっている模様です。
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●今後どのような変化があるか?

燦HDは、広告宣伝費を18.3期4,000万円、19.3期4,800万円と使っています。積極的な営業エリア拡大に取り組んでいるようで、2018年度は新たに3会館をオープン。2016~2018年度までの3年間で計10会館をオープンしています。
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新規事業として、ラーメン店「うまい麺には福来たる3号店」を2018年12月21日にオープンしています。
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ラーメン店は、食べログの評価がわりと高めでしたw
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うまい麺には福来たる[公式]
http://umaimenpuku.jp/delicious/

また、フランチャイズ方式による介護事業として、新規リハビリ特化型デイサービス「ポシブル池田2号店」(大阪府池田市)の開業を2018年7月に行っています。

ポシブル池田[公式]
http://www.possible-plus.co.jp/

今後、ラーメンや介護の収益も上乗せされることが期待されます。

●今後どのくらい稼げるか?

はっきりしたことは言えませんが、今後、令和22年まで死亡者数が増加することが予測されており、向こう10年間は年平均約1.5%の伸び率で増加する予測が出ています。葬儀自体が必要となることは確実ですが、葬儀も家族中心の近しい人だけで行う家族葬が増えており、無宗教葬や一日葬など葬儀の形も多様化しています。葬祭業界は法的規制、行政指導のない業界でなため、裏を返せば事業への参入障壁が低いことを意味します。小規模化傾向が続いていることから、葬儀施行単価の下落にもつながっていて、葬祭会館の新規出店や、ネットを通じた集客など、激しい競争が続くことが想定されます。燦HDは、葬儀施行収入全体の11%を占める「社葬」を中心とする大規模葬儀(500万円超の葬儀)の受注件数・金額の多寡により、業績は影響を受ける可能性があるため、如何に大規模の葬儀を多く施行するかが一つポイントとなるでしょう。

【さいごに】

私にとって投資とは、将来へ向けた種まきです。今後、葬儀の形は色々と変化していくことが想定されますが、結局のところ、世の中や人のニーズに応えられる会社であるかどうかが成長のカギを握ると思っています。5年後も変わらず人は亡くなるので、その時に必要とされるサービスを扱っているか。その点をしっかり見ていくことが燦HDの投資において重要になってくるでしょう。

価格水準として、2019年3月期に最高益を更新していることからも予想PERはかなり割安な水準にいます。競合比較の一覧にもあるとおり、競合他社と比べても燦HDが最も低PERです。
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配当利回りは一時期、最大3.4%まで上がっていました。株価が2,000円にまで下落すれば予想配当利回りも3%を超えますので、ひとまず株価の暴落を待ちとたいところです。
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最後まで、お読みくださり、ありがとうございました。


※本記事は、株式投資をする際の参考となる情報提供を目的に、自らの経験および独自に調査した結果に基づき作成したものです。確実な利益を保証するものではありませんので、投資に関する最終決定は必ずご自身の判断で行ってください。

2415 ヒューマンHD [企業調査]

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ヒューマンHDは「人材関連/教育/介護」の事業を展開している企業です。

コード 企業名 時価総額 営業利益 営業利益率 Net cash 予PER
2415 ヒューマンHD 149億円 23億円 25% 136億円 11.5倍

※1.時価総額、予PERは2019年7月26日終値時点の数値
※2.営業利益、営業利益率は連20.3四予の数値
※3.Net cashは、四季報夏号による連19.3の有利子負債ー現金同等物

今回、当社を調べようと思ったきっかけは、主に以下の事項が挙げられます。
・外国人の日本語教育&就労支援というビジネスは人手不足の日本に必要だと思った
・業績も2期連続増収増益に加え、会社四季報による今期と来期の予想も増収増益
・営業利益5期平均で約21億、ネットキャッシュ約130億に対し、時価総額150億と割安

状況把握も兼ねて競合と推測される「ベネッセHD」と「ツクイ」との比較による財務分析を行いました。
https://drive.google.com/file/d/1finnCtTU8HurqcXRuT7F9YD6cRg0eTRa/view?usp=sharing

ヒューマンHDは規模こそ小さいものの「割安性/効率性/安全性」においては競合よりも優れているでしょう。成長性や収益性の実績としてはまだまだ課題がありますが、現在展開しているサービスが実を結べば、規模が小さい分大きな成長が見込めますので、市場から評価し直される可能性は高いかと。個人的には競合比較をした際、割安性が最も目を引きました。資産価値の側面も踏まえた上で中長期的に将来性のあるビジネスを展開している企業に投資をしたい気持ちがあります。

次にヒューマンHDのビジネスの部分を見ていきます。

<なにで稼いでいるか?>
ヒューマンHDのセグメント別の売上高比率は「人材関連58%/教育28%/介護12%」です。
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売上高の約6割を人材関連が占めていますが、以下の表にもあるとおり、人材関連の約9割は「人材派遣事業」で収益を得ています。
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有価証券報告書より抜粋

<なぜ稼げているか?>
売上高では人材関連事業が主力という見方でしたが、営業利益では「人材関連30%/教育50%/介護20%」という割合です。これまで3期連続して赤字だった介護事業が4.1億円の黒字になりました。
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ただ、ヒューマンHDはセグメントが多すぎる気がします。これだけ色々やっていると何をやっているのか把握しずらいため、人気化しにくい要因かもしれません。
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※決算説明資料より抜粋

<今後、どのような変化があるか?>
国内IT人材不足の解消を狙い、ロシアやインドの大学、企業と協定を結び、日本語講座を提供して卒業後、日本での就労を支援しています。IT人材は世界から日本に来ないことには、人手不足は解消しないため、このようなビジネスは中長期的に見て将来性があるのではないでしょうか。また、外国人の就労支援のため、eラーニングのサービスも開始し、フィリピン最大手人材サービス会社(マグサイサイピープルリソース社)と合弁会社も設立しています。こちらは、2021年度までに受講者数1,500人を目指す模様です。日本語学校の生徒数も順調に伸びているようで、就労支援に繋げられる事業シナジーがある点がヒューマンHDの強みと言えるでしょう。
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※決算説明資料より抜粋

<今後どのくらい稼げるか?>
外国人ITエンジニアや介護領域の外国人労働者は今後も確実に求められるため、「指導、派遣、介護」の3本柱により、増収増益を継続する可能性が高いでしょう。経営者は売上高経常利益率5%を中期的な目標に掲げており、仮にそれが達成できたなら、売上高800億円に対し、経常利益40億円という計算になります。それが達成できれば現在150億円の時価総額も400億円くらいにまで上がることが期待できるでしょう。市場が暴落した時に買いたい企業の一つとして監視し続けようかと思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

8358 スルガ銀行 [企業調査]

『実際以上に大げさに扱われた小悲劇があると、いつもそこには大きなチャンスが眠っている。』ピーターリンチの言葉にもあるとおり、ブラック企業の代名詞となったスルガ銀行も、株式投資という観点では違った見え方になると思い、少々まとめてみました。

銀行について

地方銀行第二地方銀行を含めると全国に104行の銀行が存在します。地方銀行とは、全国地方銀行協会の会員である銀行のことを言い、第二地方銀行とは、第二地方銀行協会の会員である銀行のことを言います。双方の違いに所属している協会が違いが挙げられ、第二地方銀行は、元は相互銀行で平成元年以降に「金融機関の合併及び転換に関する法律」に基づき、株式会社へと転換し普通銀行となった銀行のことです。

銀行業は、マイナス金利政策の影響で運用利回りの早期改善は望みが薄く、少子高齢化に伴う人口減少が進むこともあることから、今後も地銀どおしの再編や連携の動きは頻繁に起こることが想定されます。

もともと銀行の仕事は資金の仲介です。資金の余っているところからお金を預かり、資金の不足しているところに貸し出しを行い、預金金利と貸出金利の差で利益を稼ぎます。ところが日銀によるマイナス金利政策の導入によって金利差が縮小し利益が減少しました。生き残るため、保険やM&A仲介と言った手数料ビジネスに活路を見出す地銀も増えています。

銀行株は典型的な景気敏感株なので、景気が良くなる局面では株価が上昇する傾向を持つことから、買い時は景気低迷時でしょう。景気がピークに近づいている時に買うのは大変危険です。


銀行は本業で儲からず、デジタル化への対応も必要で、待ったなしの構造改革が求められています。
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オススメの情報源
⇩⇩
www.chiginkyo.or.jp

ちなみに、スルガ銀行の設立は1895年で、125年の業歴を誇ります。本社は静岡県沼津市通横町23。三越前に大きな看板がでているので、そこが本社だと思ってました(汗)
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※本社の写真

四季報を読んで思ったこと

[2018年3集]四季報では、2019年3月期の予想経常利益を365億円としていました。
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[2018年4集]では250億へ減少しました。
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[2019年1集]では-755億と大幅減少となりました。
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このように、四半期ごとに減少していき、株価も2,800円から400円(2019.6.14時点)くらいにまで暴落しました。7000億円近くあった時価総額も今となっては約1,000億円にまで減少しています。2019年5月15日発表の決算では、経常利益-743億円が報告されました。

[2019年3集]より、2020年3月期を160億円の黒字、2021年3月期を140億円の黒字とそれぞれ予想していますが果たしてどうなるでしょうか。
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銀行業は業種全体として、経常収益に対する経常利益率が約25%ですが、スルガ銀行は今期の予想経常収益を1,250億円、経常利益を160億円としているので経常収益に対する経常利益率は13%といったところです。スルガ銀行は、中小企業や個人を対象とした融資を中心のビジネスとしており、2016年頃までは経常収益に対し40%近くの経常利益がありました。直近の動向として、四季報の【材料欄】にあるとおり、全四半期と比較して預金流出幅は徐々に減少しているようです。色々取り上げられている問題が解決されたら高利益率の状態に戻るのか長い目で追っていく必要があるでしょう。

スルガ銀行の従業員数を確認してみましたが、実際ほとんど変化していなかったです。
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参照元:Ullet)

地方銀行数社の平均年収を比較してみました。

平均年収
スルガ銀行:約740万円
千葉銀行:約730万円
静岡銀行:約760万円
清水銀行:約620万円
八十二銀行:約650万円
ふくおかファイナンシャル:約720万円

株主情報について、創業家による関与が推測される資産管理会社、関係会社は2018年3月末時点で以下のようになっています。

創業家による関与が推測される資産管理会社・関係会社
エスジー・インベストメント:5.48%
スルガ総合保険 :4.74%
エスジー・アセット:2.91%
スルガ奨学財団:2.33%

外国人投資家の保有比率も2018年3集では32.9%ありましたが、2019年3集では19.3%へ減少しました。外国人投資家もかなりダメージ大きいですね。それと、浮動株の比率がここ1年で3.2%から10%に増加していますので、50単元未満の株主が増えていることが伺えます。

社長は2018年9月7日付で有国 三知男(ありくに みちお)氏に変わりました。以前から取締役には名を連ねているので、問題発覚の前からいたようです。こんなニュースもありましたので、よかったら参考まで。
totibaikyaku.com

新卒の採用も2018年は88名でしたが、今年は34名と大幅に減りました。

ざっと、四季報を読んだ感じではこんなイメージでした。

財務状況

スルガ銀行の財務状況を把握するため、有名な地方銀行を比較して見ていきます。

比較対象
スルガ銀行(約1,000億円)
八十二銀行(約2,400億円)
静岡銀行(約5,000億円)
千葉銀行(約4,500億円)
※()は、2019年6月14日時点の時価総額

まず経常収益です。銀行や生命保険会社は売上高ではなく「経常収益」という言葉を使います。損益計算上、通常の営業活動による利益のもととなるものなので、売上高と同義で捉えても良いかなと。スルガの経常収益は静岡銀行千葉銀行と比べておおよそ2分の1といったところでしょうか。
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経常利益は次のようになっています。スルガは八十二よりも経常収益が少なかったのに、経常利益では八十二を上回っている時期がありました。
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各社のキャッシュフロー計算書の推移は次のようになっています。スルガは営業CFが約5,500億円の赤字となり、現金同等物もほぼ同額の約5,500億円減少となりました。
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経常収益に対する経常利益は以下のようになりました。銀行業としての平均は約25%です。もともとスルガはこの数字が非常に高かったようです。
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従業員一人当たりに対する営業収益も実績ベースでは非常に高い数字を記録していました。
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経常収益は次のようになっています。銀行というビジネスモデルはずっと変わらないのに千葉銀行は安定しているなと。
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自己資本比率です。ちなみに国内基準行では自己資本比率の達成すべき最低水準を国際統一基準行の半分である4%としています。仮に自己資本比率が4%を下回れば金融庁による早期是正措置が発動されます。
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地銀の収益率を測る指標として全104行の総資産収益率(ROA)をランキングにて表示。
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参照元週刊エコノミスト

与信費用トップのスルガ銀行は投資用不動産向けの不正融資で1363億円を計上し、17年ぶりの最終赤字を計上しています。
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参照元週刊エコノミスト

貸出金利回りトップもスルガ銀行で、不正融資問題を受けて高利率が見込める不動産投資向けローンが激減し、貸出金利回りは2018年3月期から0.29ポイント減ったものの3.32%という高水準を維持。
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参照元週刊エコノミスト

経費率は業務亜粗利益に対する経費の比率で銀行業務の効率性を示す指標の一つです。この数値が低いほど効率性が高いことを示しています。
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参照元週刊エコノミスト

会社予想のPER比較は以下のようになります。
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まとめると以下のようになります。

時期 スルガ銀行 八十二銀行 千葉銀行 静岡銀行
時価総額 19.6 1,000億 2,400億 4,500億 5,000億
経常収益 20.3四予 1,250億 1,600億 2,500億 2,450億
経常利益 20.3四予 350億 320億 820億 770億
一人当たり経常収益 18.3 8,200万 4,800万 5,200万 5,600万
営業CF 19.3 -5,474億 9,125億 2,516億 733億
投資CF 19.3 -10億 -2,773億 605億 1,997億
財務CF 19.3 -25億 -105億 -270億 -762億
現金同等物 19.3 4,176億 19,548億 19,827億 9,086億
自己資本比率 18.3 7.7% 7.3% 6.6% 8.6%
経常利益率 20.3四予 28% 20% 33% 31%
経常収益伸び率 20.3四予 -11% -3% 4% 2%
PER 20.3四予 9.3倍 10.7倍 8.7倍 9.5倍
PBR 20.3四予 0.4倍 0.3倍 0.4倍 0.5倍

ローン状況と貸倒引当金

貸倒引当金の状況は以下のようになっています。

ローン残高 貸倒引当金 貸倒引当率 遅延率
シェアハウス 2,020億円 1,393億円 69% 39%
投資用不動産ローン 16,390億円 417億円 3% 1%

シェアハウスに対しては、ローン金額に対して70%近くがすでに貸倒引当金として計上 されています。よって、遅延率が大幅に変わらなければ、ある程度はすでに織り込み済みの状態と言えるでしょう。【個人ローン】の表が2018年11月の短信から公開され始め、まだ今回を含めて2回しか公開されていませんが「遅延率」が四半期ごとに増加しています。次回の短信でもさらに悪化するかもしれませんので、この点は注視すべきでしょう。

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参考元:決算短信【実質与信費用・貸倒引当金について】2019.5.15



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参考元:決算短信【個人ローン】2019.5.15



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参考元:決算短信【個人ローン】2019.2.14

結論

スルガ銀行の月足チャートはコチラ。株価は2011年の安値も下回っていて大分下がりました。
⇩⇩
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結論
以下参考①にあります2017年3月期の最終益400億円にまでは回復せずとも、その半分である最終益200億円にまで業績を回復させられれば、PER8倍で換算した時に時価総額は1,600億円となります。参考②より銀行の平均PERは7.9倍です。もちろん倒産してしまう可能性もありますが、現状の貸倒引当金の状況を見るに高く見積もっても20%程度ではないでしょうか。特に根拠もない非常にざっくりした数字ですが、倒産確率20%、株価上昇60%の期待値を換算すると「1.28」といったところです。(1.28=0×20%+1.6×80%)株価が344円にまで下落すれば時価総額も800億円となるため、期待値も1.6となります。個人的には期待値が1.5を上回る案件に投資したいので、結論もう少し待機かなと。

参考①
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参考②
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スルガ銀は現在、コンプライアンス態勢の再構築と、ガバナンス態勢の強化を軸に改革を断行しているようで、2020年3月には全社員の行動・判断の基準となる「コンプライアンス憲章」を制定し、実践していくことを宣言しています。
より強固で適切な企業統治を実現するために監査等委員会設置会社への移行を決議し準備を進めているようですが、健全な組織風土を構築し、信頼回復へ向けた道のりはまだまだ遠そうだなと。

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